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シリーズ 学生の挑戦
陸上競技部 箱根駅伝に向けてひた走る日々
練習風景
今年正月に行われた箱根駅伝で、総合9位となり見事にシード権を獲得した陸上競技部。箱根を走った10人のメンバーのうち5人が卒業し、現在チームは再建中。毎日繰り返される走り込みの中から、箱根を戦うチームワークは育まれていく。
10月の出雲、11月の全日本、1月の箱根、学生3大駅伝といわれるものだ。中でも1月2日、3日に行われる箱根駅伝は言わずと知れた大舞台だ。

箱根駅伝に出場できるのは、関東学連加盟大学の中でも前年大会でシード権を獲得した10校と、予選会を通過した9校、そして関東学連選抜を加えた合計20チームのみ。読売新聞東京本社前から箱根芦ノ湖の間を往路5区間、復路5区間の合計217.9kmで競う。

前大会、専修大学は往路8位、復路8位、総合9位となり、シード権を獲得した。

本格的な暑さが始まりつつある7月下旬の夕刻、来年の箱根駅伝に向けて、部員たちは走り込んでいた。専修大学陸上競技部は決まった練習場を持たないため、練習場所は日によって変わる。この日は川崎市中原区の等々力陸上競技場が練習場所となった。

400mトラックを40周、走力で分けられた2グループで走る。夕暮れとはいえ暑さは残り、周を重ねるごとに苦しさに顔を歪め、集団から脱落しそうになる選手もいた。

一緒に走る仲間はペースが下がらないように声を掛ける。

陸上競技部
加藤覚監督
今大会で4年目となる加藤覚監督は言う。「このような蒸し暑いコンディションで練習ができれば、涼しくなればもっとハイレベルな練習ができます。夏場の練習次第で選手の強さも変わります。専用のグランドもありませんが、ない中でどのような工夫をし、強くなるには何が必要か常に考えなさいと言っています」

専大陸上競技部は、インターハイ決勝に進んだような有名高校のエース格だった選手がそろっているわけではないともいう。

「夏の合宿地としている北海道では、日本体育大学と練習場所が重なりますが、そこで両校の力の差は歴然としています。トラック一周400mを3分20秒くらいのペースで走っている専修大学に対し、エリート選手がそろう日本体育大学は3分10秒くらいで走ってしまいます」

キャプテン・郷間章
キャプテン・郷間章
(法学部4年)
座間紅祢
座間紅祢
(商学部4年)
五ヶ谷宏司
五ヶ谷宏司
(経営学部2年)
井上直紀
井上直紀
(商学部2年)
しかし、単純に個人の力だけでは勝負は決まらないのが駅伝の魅力だ。「駅伝は襷をつなぐレースですから、チームが一丸となれば、たとえ個人の能力で劣っていたとしても、チームで戦うことができます。みんなで声を掛け合っていくような練習を重ねる中でチームとしてまとまってきます」

前大会はチームとしていい流れを作り出せた結果の9位だった。1区の長谷川君が4位で襷をつなぐと、続く2区をエース座間君が区間5位で駆け抜けた。勝負の分かれ目となる序盤の1、2区でいい順位を確保できたため、それに続くランナーたちもその順位を守ろうと必死で食らいついた。その結果、最後までいい流れとなったのだ。

レギュラーメンバーだけでなく、控えのメンバーたちの気持ちものせた襷は確実にチームをつないでいる。

前大会を戦ったレギュラーメンバーのうち5人は卒業したため、チーム構成はがらりと変わる。チームはまだ形成途中だ。部員たちの声からもこの先のチーム作りが大切であることが分かる。

「レギュラーメンバーだけでなくチーム全体の底上げができていないと勝てないので、練習でもいい雰囲気を作っていきたい」と井上直紀君。「これまで3年間の箱根での経験を生かして、チームの柱となりたい」と座間紅祢君。「怪我や体調を崩している人がいて、練習への取り組みにも個人差があるので、ミーティングで気持ちを伝え、チームがひとつになるようにしたい」と五ヶ谷宏司君。「昨年の夏合宿を通して、4年生が変わったのを見てきました。今は自分たちが中心になってチームを作っていきたい。全日本駅伝大会予選では悔しい思いをしたので、選手同士で話し合って、みんなの気持ちを引き締めたい」とキャプテンの郷間章君は言う。

監督も選手も「前大会でシード権を取れても、次も取れなければ意味がない」と考えている。

シード権獲得は決して偶然ではなかったということを証明しなければならない。お互いの息遣い、足音を感じながら走る日々の練習こそが、チームを作り上げていく尊い作業なのだ。