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110号 会報「育友」
シリーズ 知的好奇心いろいろ
ブログの世界へようこそ
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経営学部教授 新井 範子
担当科目はマーケティング総論、消費者行動論、インターネット・マーケティング特論など。主な論文・著作は[学術論文]大規模コミュニティサイトにおけるユーザ評価の分析(専修大学経営研究所年報No.29:H17年)、『みんな力』(東洋経済新報社:H19年)など。
1.急速に広がるブログの世界

最近、よく「ブログ」という言葉を聞きます。なんとなくわかるような気がしているもののブログとは何なのでしょうか?ブログとは「ウェブログ」を略したもので、ウェブ上のページの一つの種類です。ブログのサービスを使えば、HTMLを知らなくても簡単にリンクを張ることができたり、更新できたり、携帯電話からも写真が送れたりと、とても便利です。総務省の統計によると2006年4月時点でブログに登録している人は868万人で、前年よりも2.6倍というすごい伸びです。すぐにブログを書くのをやめてしまった人や、長い間更新していない人なども多いでしょうから、アクティブユーザー数となると少なくなりますが、でもかなり多い数です。

世界的な規模では、ブログ検索エンジンを提供しているテクノラティの調べによると、日本語のブログが37%、英語のブログが36%、中国語が8%と日本語のブログがもっとも多いという結果になっています。それだけ日本人はブログが好きです。それは、日記という形式やコミュニケーションの仕方などが、日本人のパーソナリティと合っているからなのかもしれません。

2.生活者発の情報へ

ブログはどのように活用されているのでしょうか?企業は社長の生活やポリシーなどをブログとして公表し、その企業への親近感を強めてもらうツールとして利用したり、また開発者がその製品の開発過程や思想を語り、その製品への理解や思いを強めてもらおうとしています。政治家やタレントも多くの人がブログを書いていて、情報発信やファンとのコミュニケーションに利用していますが、ブログを書いている人の圧倒的多数は、私たち普通の生活者です。普通の生活者であってもその内容が魅力的であれば、多くの人がそのブログにアクセスして、読んでくれます。例えば「鬼嫁日記」「きらきら研修医」などブログがドラマ化されたものも多くなってきました。

ということは、ブログの発信者がだれであろうとも、ブログの内容が面白ければ、大きな影響力を持つことになります。ここが今までの情報の流れと大きく違う点です。

3.参加型の情報環境へ

今までの情報はマスメディアを中心に広まっていきました。企業のCMであったり、テレビ局や新聞社が選んで流したニュースであったりと、情報の発信者は生活者ではありえませんでした。生活者は情報を受け取る側であり、情報を広く発信できなかったのです。

しかし、ブログをはじめとしたインターネット上のツールは企業や個人の隔たりなく、情報の発信者となる環境を作りあげたのです。だれでもマスメディア以上の影響力を持つことができるようになったのです。さらにそのブログを書いた人にコメントを残したり、自分のブログとリンクを張ったりして、つながっていくことも簡単になってきました。今まで会ったこともない人と出会い、コミュニケーションできるようになってきたのです。さらに、生活者視線の有用な情報を見つけることもできます。たとえば、家の近くのおいしいレストラン情報など、マスコミからは流れてこないものを探すことも簡単です。

誰とでもつながれる、そしてその場に参加できる、という生活者参加型の世界が広がってきました。生活者は情報の受け手ではなく、参加者へと変わったのです。生活者視線の役に立つ情報も多くなりますが、同時にデマや虚偽の情報も多く流れてきます。だからこそ、自分なりの情報を選ぶ基準をしっかりと持って情報を見極める目が必要です。